Jan 30, 2020

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i r i s
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アイリス



Jan 25, 2020

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T h a t  d o g
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あの犬

カウンターの足元の壁。綺麗に塗り直そうかと迷ったけれど、塗っていません。
何人もの人が此処を掠めたでしょう。

この壁に犬が見えますか。

同じ自転車に乗った、でも違う二人がここに居合わせた午後、その犬は迷い込んできました。
見た事もない景色の中には見た事もない景色を見ている犬がいて、
その午後と、その犬の事を思い出しました。この壁にいるのはその犬なのかもしれないとすぐに思ったからです。
一瞬の出来事は点のような時間でしかなくて、時間にも感じれず、幻想だったのではないかと思う時もあり、
でもここで見た幻想のような時間の出来事は、片づけてゆく度にちゃんと残っている事に気づくのです。




Oct 11, 2019

te





s e a s o n
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季節

此処での秋が好きです。
夏は殆どいなかったし、だからもう一度初めてから始まる感じと、
陽を追って料理をし、引く頃には少し静かになったはっきりとしない時間がある事。
水の通り道を変えたらよく水の流れる音がします。この音は寒くなる冬には聞こえなくなるのでしょう。

季節によって此処は全く別のものであるようだし、
それは季節がつくっていて、私は此処にいるだけです。
だから眼に入るものそれぞれの人それぞれに違うものであるのは当たり前なのかもしれません。
だから、後に、「こんな場所でした」と教えて下さい。
それは閉まっておいても構わない事だけれど。もし、できれば。

外で天気雨が降っています。そういう事と似ている事です。

ブランコをつくりました。
閉まっておいた場所を思い出しながらつくりました。
ブランコにはなりきれていないけれど、気に入っています。




Jul 26, 2019

te




D a y  b e f o r e  s u m m e r
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夏の前の日

巨峰の果汁にソーダを重ねて、白いアイスクリームをのせたそれは気になる色になった。
それから一瞬一瞬が気になる色になっていった。
交ざり合っていくという事。

カウンターに座った。
その時に此処で、繰り返し聴いていた音楽の事。
英語の歌詞で正確にはわからないのだけれど、
音楽の中の人は、河の畔にいるようでした。



目の前の河を渡れずにそこにいる。
だんだん海辺にでもいるような気持ちになって、
側にいるはずのもうひとりの人は遠くから話しかけるように話しかけてくる。
それはその今を全く違う時間にもっていかれたような印象だった。


とても短い曲です。
何年も前にも、この曲を繰り返し流していた事、
その日の風景を遠くから見ているように思い出しました。

今年の夏の飲み物です。



May 11, 2019

te



A p r i l
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4月

子供と過ごしていると過去をよく思い出します。
この事の知識として自分の中に過去しか頼れるものがないからかもしれないけれど、
そう思うと、子供は過去なのかもしれません。

この事みたいに、過去から今、成している事はあるのでしょうか。
意識をして観察したり、学んだりしてきた事ではなくて、感覚として残っていることはいくつもあって、
何かの弾みでそれを思い出したり、思い出す事はなかったり。
それはひとりづつの特別で、子供に差し出せる特別かもしれない事で、

さまざまの事が人の中には眠っているのかもしれません。
この部屋にそういう過去をつくること。
見せられるものでもなくて、美味しい味でもなくて、自分なりの信念でしかないけれど。
もう、ここには過去があるのを時々感じます。


入口に白い花のカーテンをかけました。

芍薬は大きく咲いて、花弁は沢山で、三礼加。
三礼加の名前の由来を知って、嬉しかった。



Feb 15, 2019

te




y o i n o m i 
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宵の実


思い返してみれば隙間の時間を名付けているのだから、
そういった時のある場所である事は最初からそうだったのかもしれません。
流れるような時間の中にある隙間のような時間は特別で、それは時間ではないのかもしれません。
「いつ」というような事はなくて不意の事。
待ち遠しく思ったりするような楽しみもないし、望むような事でもなく、むしろ最初は戸惑うのに、
幸せのような気持ちに最後は心がそっとあるのです。
その時、
人のまなざしはとても特別なまなざしです。

隙間の時間の空を見かけた時に思い出してもらえるでしょうか。
この場所が目には見えなくなっても隙間の色をみて思い出した時に身体中が幸せのような気持に掬われるでしょうか。
いつもみているのはその事でした。
小さな中の時間を動かすために、ひとつひとつ、とても深く考えるけれど、
それらが動き出した時間の中では目の前の沢山の事は透けていて、
見つめているのはただ、その事です。




Dec 26, 2018

te




h u c k l e  b e r r y 
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ハックルベリー


ハックルベリーは幾つかの色を含んでいました。
その見た色からは想像しない、ブルーベリーに似ているけれど同じでない。
もっと含みのある、艶と、たくさんの色の交ざり合うひとつの色。

みえない色はたくさんあって、みようとすればみえる色がある。
理解したいと思うと、ずっとその繰り返しです。

自分を透かしてみえる興味と切り離したかった色。
色にならないという色。
氷が融けた水と氷水とが似ても似つかないような。

ハックルベリーはジャムになりました。ハックルベリー・フィンとは違うのです。
フィンは川で色に気づき、それは自然は社会から遠いところにあると感じさせられました。
それは一見、自由に思うかもしれないけれど自由ではなかった事。その中で葛藤し続けている事。
でも、何よりもその場所の空気は不意に人を自由にしてくれます。
そう感じる瞬間が、この場所で、今年もあって、
嬉しかった。

もうすぐ一年が終わります。





Aug 31, 2018

te




W e a t h e r s i d e 
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「さらされた場所」についてのAndrew Wyethの言葉


私はこの家が、とても長くはもたないだろうと思っていたので、単にこぎれいな肖像ではなく、
自分の財布に入れて、眺めるために持ち歩いていても楽しいような、本当の意味での肖像画にしたかったのである。
私はこの絵を純粋に私のためだけに描いた。
このもろく、からからに乾燥した骨のような家が、この世から消えていくのもそう遠い日のことではないと感じていた。



すべては移り変わる。決して立ち止まりはしない。





Jun 18, 2018

te




h a d  a  d r e a m
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夢をみた


夢をみた。
それを叶えるために何かを考えたり、努力したり、何もしているわけではないけれど、
そんな、薄い色で、そっとしたようなものが夢なのかもしれません。



よい「時」は、求めたり委ねたりするものではなくて、
誰でもその「時」への可能性をもっていることをまた思った雨の日。